[青木克行,青木勇一郎監修/アルマット]
レイキにとっては非常に重要な、シンボルとマントラを公開したことで話題になった本です。これはある意味で、レイキ界に対する反逆行為とも言えますからね。
いったいどういう意図で公開したのか? また、サブタイトルに「はじめて明かされるレイキの極意と、実践方法。」とあり、そこまで大見得を切るだけの内容はどんなものか? ということに興味があって読みました。
読んでみた感じでは、単なる誇大妄想ではなく、しっかりと自分でエネルギーを感じた上で、試行錯誤してたどり着かれた境地であることがわかりました。言われるがままではなく、自分で確かめてみるという態度は、とても共感できます。
ただしその一方で、公開されたシンボルやマントラが、一般的な西洋レイキのものとは違うし、直傳靈氣のものともまったく違っています。また、直傳靈氣の内容をあまりご存知ではないようにも感じられ、その知識が中途半端なようにも思いました。
青木氏が行っているのはオーラレイキと呼ばれるものです。オーラヒーリングとレイキを合わせたようなもので、オーラやチャクラ、レイキの回路などをしっかりと感じることに重点を置かれています。
エネルギーを感じるためには、「背筋を伸ばす」「グーパーする」「両手を擦る」「自信を持つ」という方法で、自分の基礎エネルギー量を高めることが重要だと言います。その上で、1つの極意があるそうです。
「それは【ゆるむ(弛緩する)】ことです。」(p.62)
小林正観さんも、超能力を働かせるにはリラックスすることだと言われています。またレイキでも、力を抜いて委ねることが重要だと言っています。ですから、この極意には同感です。
「そこで、硬くなった心と身体を【緩める】方法をお伝えします。それは【揺する】ことです。イライラしている時や、緊張している時には、ひたすら揺すってみてください。」(p.62)
ボイストレーニングでも、身体を揺すって調整する方法があります。なので、これも実用的だと思いました。
「【五戒】を、潜在意識にインプットして、より高い自分を創るためのツールとして使うとしたら、【怒るな・心配するな】と唱えるよりも、日本一の高額納税者の斎藤一人さんが推奨されている天国言葉【ツイテル・うれしい・楽しい・感謝してます・幸せ・ありがとう・許します】などに変えて使った方が、ストレートに潜在意識に入りやすく、より効果的に【五戒】を実践することになるのではないでしょうか。」(p.100)
これも、たしかに言われるとおりでしょう。「怒るな」と言われれば、「怒る」方に意識が向きます。ただ「五戒」は、戒めなのだとも言えます。つまり、つい怒ってしまった時、「ああそうだ、怒ってはいけないのだった。」と自省するためのものです。
「霊気は、手当てを入り口として悟り(安心立命)の境地に至ることが目的だと伝えられています。では、手当てと安心立命の接点は、なんだと思いますか? 色々な解釈ができると思いますが、
一つは、ゼロの状態になることではないでしょうか?
霊気では手当てをやる際に、治そうという意識や意念は持たずに、ただ霊気を中継するパイプになることが求められています。つまり、ただ、淡々と手当てを続け、結果は全て宇宙の流れに委ねるということです。これは、思い通りになってもならなくても、必要なものは、必要な時に与えられるという、絶対の信頼を生み出すトレーニングと心のクリアリングをしているということではないでしょうか?
つまり手当ては、【発霊法】や【瞑想】を兼ねているとも言えます。」(p.245 – 246)
このように、レイキは悟りのための方法だと言い切っていますが、これはちょっとどうなのだろうと思います。どこにもそう書かれたものはありませんから。
たしかに人生の目的が「悟り」なのだと考えれば、すべてが手段ですから間違いではないのです。しかし、レイキで心身を癒すことを目的として行動するうちに、自然と悟ってしまうというのもアリではないかと思います。
「ただし、身体を通したエネルギーには質と流れの影響があるので、回路を開いていない人や、クリアリングしていない人は、相手に粗いエネルギーを流してしまうことになります。また流れの法則を知らなければ、手当をすることでエネルギーを逆流させてしまい、敏感な人は息苦しく感じることもあります。これも、自分たちで、エネルギーの流れを感じて判ったことなので、知らない人も多いと思います。」(p.247)
このように、レイキのマスターでもレイキの回路が開いていない人がいるし、回路が開いているかどうかを確認できていないと青木氏は言います。この部分は、私はまだ何とも言えないのですが、やや懐疑的な見方をしています。
と言うのは、青木氏は、創設者の臼井甕男氏よりも林忠次郎氏、高田ハワヨ氏の方が回路が多く開いていて、レベルが上だということを言われているからです。そしてそのことから、西洋レイキの第4シンボル(マスターシンボル)は、林氏か高田氏が考案したとまで言っています。
もしそうだとすると、高田氏とほぼ同じころに伝授を受けた直傳靈氣の山口千代子氏などに、第4シンボルが伝わらなかったのはどうしてでしょうね? また、高田氏から伝授を受けて広まった西洋レイキなのに、どうして回路が開いていないマスターが多くいるのでしょう?
レイキを受けて効果があったことがたくさん報告されているのに、それらは思い込みや暗示効果だと断定してしまう点も、ちょっとどうなのだろうと思います。自分が気付かない何かがあるのかもしれない、という謙虚さがあっても良いと思うのです。
このように、疑問に感じることは多々あるのですが、青木氏のレイキを極めたいという思いには共感します。レイキを知らない人にこの本をお勧めしたいとは思いませんが、より学びを深めるには役立つ本ではないかと思います。